ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「ねぇ、玲。今日、誕生日でしょ?だからケーキでも買いにいこうと思うんだけど、一緒に行かない」


家に戻ると、お母さんが声を掛けてくる。


「ごめん、お母さん。あたし、行かなきゃイケないとこがある」

「そう。なら、何のケーキが良い?お母さん、買っておくわ。今日はお父さんも遅いし、明日にでもみんなで食べましょう」


···お母さん。


「チーズケーキ」

「わかった。気をつけてね」


そして、再び家を出た。

きっと、今日も彼らは待ち続けてる。

何も知らず、ただただ信じて待ち続けてる。

そんなことをしても、そこに待ち人は一生来ない。

彼らの心だけ置き去りに、残酷なほど時は進んでいく。

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