ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
再び歩みを進め、テーブルに乗せられた誕生日ケーキを手に取ると、あたしは床に叩きつけた。


「蓮見!!」


その場にいた千郷が、声をあげる。


「なんで?なんでひかりのことになると、蓮見はそんな酷いことばっかするの。ねぇ、なんで」


千郷は、あたしに掴み掛かる。

その力は弱くて、簡単に振りほどける。


「アンタさ、何がしたいの?アンタの夢物語に、どれだけの人間が巻き込まれて、傷ついてるかわかる?」

「あなたが、あなたたち親子が、あたしから全部奪ったんじゃない。返して!ひかりを返して!」


取り乱し、泣き崩れる女がとても哀れだった。


「親父!に、蓮見のおじさん」


突然の晃一の言葉に振り返ると、そこにはお父さんと晃一と千郷のおじさんがいる。


「だから、来たくなかったんだよ。バカ息子がいる気がしたから。蓮見、貸しだからな」


こういうとこ、千郷のおじさんと晃一って似てるんだよね。

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