ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
おじさんは全てを知っていて、発言をしているのだろうか?

その真意はわからないが、あたしの答えを求めていることだけわかった。


「たぶん、逆です。幸せを知ってしまったから、彼女は選択した。終わりじゃなく、始まりを」


偽りだらけの過去じゃなく、彩華は不確かな未来に夢を見たんだ。

おじさんは、フッと顔を緩める。


「蓮見が、今日と言う日が来なければ良いと言っていた。だからそんなアイツに、今日と変わらぬ明日が来ることを願って、俺は退散するよ。俺が居たら、バカどもに話せない話もあるだろし」


おじさんはポンポンッと、あたしの肩を叩くと歩き出す。


「おじさん。あたしは終わりでも始まりでもなく、継続を選択しました。だから、伝えてください。これからも、あたしは蓮見家の人間として生きていくと」


おじさんは振り返ることなく、手を振り、その場を後にした。

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