ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「ひかりが求めてた自由って、死ぬことだったの?」


目の前にやってきたハルが、あたしに尋ねる。


「···ハル」

「ずっと死ぬために、ひかりと計画してたの?」


傷ついたような顔をしながら、あのハルが怒っていた。


「だから、こそこそ2人で会ってたの?答えろよ」


ハルの言葉を、否定することができなかった。


「作られた世界で、周りの大人が求める人間として生かされてた。そんなあたし達は、そもそも始めから生きてたって言えるのかな」

「···蓮見」


切なそうに、晃一はあたしの名を呼ぶ。


「本当の両親に会ったこともなければ、顔すら知らない」


岩崎家に引き取られた彩華は、知ってたのだろうか?

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