ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
慣れたように仕事をこなす、窓口職員に近付く。


「・・・転入届」

「蓮見さん?どうしたんですか」


先ほどの職員が、驚いたように尋ねる。


「知り合い、かなって思って」

「なら、代わりますか?」


そう言うと、出した書類を手渡してくる。


「あ、うん」

「じゃ、後お願いします」

「ありがとう」


書類に目を通すと、”岩崎彩花”の名が記載されていた。

人違い、かもしれない。

今までも、そんなことがあった。

その度に、あたしは酷く落胆した。

でも、期待せずにはいられない。


「お待たせしました。記載に、間違いはありませんか?」


平然を装い、相手に尋ねる。

相手は言われた通り、書類を確認する。


「はい。大丈夫です」


そう言って、相手は顔を上げた。

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