ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「あたしね、諦めるのを諦めたの」


諦めるのを、諦めた?

岩崎彩華の言葉が理解できず、眉を細める。


「結ばれるとか結ばれないとかじゃなく、ただ好きな人に恋をしてようと思って」


岩崎彩華は、どこか吹っ切れたように口にした。


「あたしね、今も初恋の彼が好きなの。思い出になんか、きっと生涯できない。だから、自分の気持ちを認めてあげることにしたの」


幸せそうに笑みを浮かべた岩崎彩華に、目頭が熱くなる。


「岩崎さん。あたしと友達になりませんか?」

「えぇ、もちろん。あたしのことは、彩華って呼んで」

「なら、あたしも玲で」


彩華は、何か思い立ったように携帯を取り出す。


「連絡先、交換しよ」


その提案に、あたし達は連絡先を交換した。

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