ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
だけど、そんな心配を余所に、タクはまたあたしに話しかけてきた。


「俺と綾野、同級生なんだよ」

「はぁ」

「小中高って一緒で、腐れ縁みたいな奴でさぁ」


過去のことを思い出しているのか?

タクは、フッと笑みを浮かべた。


「でも、今回が初めてだわ。綾野から、紹介された女」


紹介?


『タク。この子、俺の連れだから』


あぁ。

でも、あれは紹介と呼んでいいのだろうか?

なんか、違うような気がする。


「名前、聞いても良い?」

「蓮見、です」

「蓮見ちゃんね。よろしく」


そう言い、タクは手を差し出す。

だから、あたしはその手と軽く握手した。

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