ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
誰かが、あたしのことを見てたわけじゃない。

もちろん、晃一もハルも・・・

そんな2人よりも、あたしの視線を掴んで離さない男が居た。

彼のことなんて、あたしは知らない。

今、初めて見る人だ。

だけど、この気持ちは何なのだろうか?

知らないのに、知って居るような・・・

あたしとは無縁のように感じるのに、とても近くに居るような・・・

何とも、言葉にならないこの感じは何?

軽く混乱しつつある脳内を、あたしは必死に冷静になるように命じる。

ゆっくりと、何度か深呼吸を繰り返す。

少し時間が掛かったが、やっと脳が冷静さを取り戻す。

その間に、静かにここを離れよう。

そう思い、タクにも、千郷にも何も言わずに外へと出た。

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