ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「ね?」


そう言い、阿須賀はあたしの腕を掴む。


「あの。相手の同意もなく、無理矢理連れ回すことなんて言うか知ってます?」

「え?」


あたしの言葉が聞こえなかった訳ではないだろう。

ただ咄嗟の問いに理解が出来ず、聞き返したのだろう。


「誘拐ですよ。誘拐は、犯罪です。捕まりますよ」

「同意があれば、問題ないでしょ?」

「あれば、ですけど。あたし、あなたに従う気はないです」

「釣れないねぇ〜。こんなに手を焼く子、初めてだよ」


手を焼いてるのは、こっちだ。

いきなり絡まれ、意味のわからない会話をされ、あげくに連れ回されそうになっている。

ホント、いい加減にしてくれないかなぁ?

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