ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
あたしは、阿須賀に聞こえるように盛大なため息を吐く。


「手、離してもらって良いですか?あたし、あなたに構ってる暇ないんで」

「う〜ん、困ったなぁ。キミは、どうしたら付き合ってくれるの?」


困るも何も、阿須賀の都合に付き合う義理なんてない。

サッサッと、手離せよ。

あたしは、阿須賀のことを嫌悪感丸出しで睨み付ける。


「いい加減に・・・」

「ちょっと、待って。あ、もしもし?」


あたしの言葉を遮り、携帯に耳を傾ける。

電話するのは勝手だけど、人の手を離してからにして貰いたい。

でも、今はチャンスかもしれない。

電話に気を取られてる隙なら、阿須賀の手を振りほどけるかもしれない。

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