ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
あたしは、歩みを止める。


「蓮見?」


そんなあたしに気付いた千郷も立ち止まり、こちらを見る。


「あたしに、何て言ってほしいの?」

「え?」

「あたしの考え?それとも、慰め?」


あたしの言葉に、千郷もあたしの話の意図に気付いたようだ。

だけど、千郷は薄っぺらい嘘で隠そうとする。


「何意味わかんないこと言ってんの?早く、行こッ?」

「本当に変わりたいと思うなら、利用するのも止めなよ」


あたしの言葉に、千郷は唇を噛み締める。


「・・・・・・・ない」


千郷の声が小さ過ぎて、全ての言葉が聞き取れない。


「あたしの気持ちなんて、蓮見にだって理解できるわけない!」


キッと、千郷はあたしのことを睨み付ける。

< 81 / 213 >

この作品をシェア

pagetop