ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「蓮見、助けて・・・」


そう言い、千郷はあたしに抱き付く。

そんな千郷の背中を、あたしは優しくさする。

キミが、あたしにしてくれたように・・・


「大丈夫だよ。千郷は1人じゃない」


キミがくれた言葉を、今度があたしが千郷に向けた。

あたしは、優しくなんかない。

だから千郷にこんな行動や言動ができる自分に、あたし自身が1番驚いてる。

だけど千郷が、昔の自分と重なって見えたから、放っておけなかったんだ。

あたしの中で、今もキミは存在している。

忘れたいなんて思ったこと、1度もない。

ただ時間が経つにつれ、薄れていくキミの記憶が切ない。

だから、今は少しだけ嬉しい。

キミと一緒に、生きているような気がして・・・

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