ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
そう、自分自身に言い聞かせていた。

あたしは、何故か彼女の存在を否定したかった。

そう思えば思うほど、あたしの中で彼女の存在が大きくなっていく。

Siriusに着き、千郷と中へと足を踏み入れる。

タクの居るカウンターへと真っ直ぐに向かう千郷の後に、あたしも続く。

そして、此間のように飲み物を注文した。

目の前に出されたグラスを見つめ、小さなため息を零す。

どうしたんだろう?

Siriusに入って来てから、彼女の名が鮮明にあたしの耳に届く。

その度に、反応してしまいそうになる。

死んでも尚、Siriusの人間は彼女を求めている。

死んだ人間なんて、帰って来ないのに・・・

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