ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
愛おしいモノを見るような瞳で、千郷の背中を見送っていた。

・・・うん?

もしかして、この2人は両想いなの?

人の色恋なんて、全く興味はない。

だけど不器用に絡まった2人の赤い糸が、とてももどかしく感じた。


「タクさん、牽制ですか?」

「うん?」

「これ以上、千郷の気持ちが大きくならないようにしてるのか?それとも、自分の気持ちを誤魔化すためですか?」


タクは、困ったように笑みを零す。


「蓮見ちゃん、誤解だよ」

「そうですか。タクさんが、そう言うならそう言う事にしておきます」


色恋なんて、結局は当事者たちの問題だ。

外野がとやかく口を出していい問題じゃない。

だからタクがそう言うのなら、これ以上口出しするのは適切ではないと思った。

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