BAD & BAD【Ⅰ】
呼吸をゆっくり整える。
走ったせいでボサボサになった髪型も一緒に整え、急いでやって来たわけではないオーラを醸し出す。
準備万端。
体が甘いものを欲しているのを感じ取りながら、洋館の扉を開けた。
ギィ、と鈍い音が耳をかすめる。
「皆~!……って、あれ?」
元気のいい発声付きで入ってきてあげたのに、ホールはガラーンとしていて誰もいなかった。
どういうこと?
なに、今日は神雷臨時休業?
「いや、臨時休業ってなんやねん」
わけがわからなすぎて、自分ひとりでボケとツッコミをやってしまった。
もしかして遊戯室で遊んでるのかな?
そう推測して、遊戯室を覗いてみても、やはり誰もいない。
なに?なんなの!?
すっごく心細いんだけど!
どうして誰もいないの!?