BAD & BAD【Ⅰ】
「あれ?でも、なんで幸珀は学ラン?……まあなんでもいっか~」
弘也とたかやんが同じ苗字だということには、最初から引っかかっていたけれど、偶然だと思ってそこまで気にしなかった。
いや、偶然だと思いたかったんだ。
だって、もしも偶然でもなんでもなかったら、さらにはちゃめちゃになって苦労する予感しかしなかったから。
「一応教えておくけど、京と凛と桃太郎と真修は隣の学校だよ」
情報提供ありがとうございます、弘也クン。
でも、そんな情報、微塵も興味ないです。
ちょっと軽くパニクっていて、それどころじゃないです。
……待って。
ということは、学校で弘也とすれ違う可能性があるってこと?
それ、危険すぎない?
私の正体が暴かれる確率が、急上昇してない?
逆に、今まで学校で、同学年である弘也と会わなかった方が奇跡だ。
私、すごくない?
神様がいたずらに、修羅場を避けてくれたのかな。
「今度、鷹也のクラスに遊びに行ってみよっかな」
「ダ、ダメ!!」
「えー、なんで?」
「え、えっと……ひ、弘也の神々しさを学校でも直視しちゃうと、目と心臓がポンコツになっちゃうから……」