BAD & BAD【Ⅰ】
「ふふふ、そっかそっかー。僕は神レベルにかっこいいか」
「……え、あ、う、うん?」
「さっすが、幸珀!見る目あるねぇ!わかってるぅ~」
弘也は満面の笑みを咲き誇らせながら、私の背中をバシバシ叩いた。
痛っ。ちょっ、ちょっと、痛いって!
もしかしなくても、全力で叩いてるでしょ!?
「そこまで僕を崇拝してくれてるなら、仕方ない!学校ではできるだけ会わないようにしてあげるよ」
「ど、どうも」
崇拝というワード、一度も使ってないんだけど。
この人の耳は、大丈夫なんだろうか。
ちょっと……いや、すごくオーバーな妄想を付け加えられてしまった。
否定したらせっかくの嘘が水の泡になっちゃうから、肯定しておくけどさ。
弘也のナルシストなところは、賞賛に値するよ。それくらい凄まじい。
「弘也が騙されやすくてよかったな」
「神レベルに愚鈍な弟を持って、大変だねたかやん」
「おう、わかってくれるか」
私とたかやんが影でそう話していたことを、弘也は露ほども知らない。