BAD & BAD【Ⅰ】
ここで可愛さアピール?なぜ?
しかも、顔真っ赤だし。
おかしくなっちゃったの?
頭上にクエスチョンマークを浮かべていた私に、
「あれは、照れてる時の癖らしいよ」
たまたま近くで、私と同じように料理を取っていた師匠が、耳打ちしてくれた。
照れてる時の癖?
何それ、そんな癖があるなんて聞いてない!
料理だけじゃなく、癖までも女子力を無駄に高めてるの?
生物学的に女な私より、桃太郎の方が格段に女子だ。
クソ羨ましいな!!
私にも、桃太郎みたいな癖があれば……!
「可愛いよね」
「憎ましいくらい可愛いですね」
「可愛くねぇ!!」
反論した桃太郎の顔は、まだ赤く熟れていた。
「……って、師匠!口元めっちゃ汚れてますよ!?」
不意に師匠に視線を流すと、師匠の口周りにご飯粒やソースが幼稚園児並についていた。
どうやったら、そこまで汚せるの。