BAD & BAD【Ⅰ】
私はテーブルからナプキンを取って、師匠の口元の汚れを拭いてあげた。
私って、スーパー優しいな。
「今、師匠って呼んだ?」
「えっ」
あれ?呼んだ、かな?
……あ、記憶を遡ってみたら、確かに呼んでました。呼んじゃってました。
咄嗟のことで、つい。
どうしよう!
「わあ、すごいや。呼び方まで、俺の知り合いと同じだ!」
どこまでも鈍いな、この人は。
焦って損した。
これだけ似てる要素があっても、別人だと思えるなんて。
逆に、どうしたら同一人物だって気づくのか知りたいくらいだよ。
「これがゲームだったら、きっとこの後……」
「2次元トークはあとで聞きますので、今はパーティーを楽しみましょう」
師匠がゲームについて語りだすと、パーティーが終わるまで続いちゃうから、早目に切っておかないと。