BAD & BAD【Ⅰ】
経験してるからわかる。
師匠のゲームへの熱意は、眠気を食い殺すほどだ。
……あれは、生き地獄だったなぁ。
「そうだね。じゃあ、チョコレートケーキでも食べようか」
「はい!」
やったやった!チョコレートケーキだ!
そう、私はこれを食べるために、居残りを頑張ったんだ。
やっと食べられる!
チョコレートケーキは、まだ切り分けられていなかった。
せっかくだから私が切ってあげようと、脇に置いてあったケーキナイフに手を伸ばす。
すると、急に横からヌッと出てきた手と、私の手がぶつかってしまった。
「あ」
喉から、一音だけ漏れた。
横を見ると、今日も瞼が半分しか開いていない副総長がいた。
この手は、私と同様に食い意地の張ってるあなたのでしたか。