BAD & BAD【Ⅰ】
ギュッと目を瞑ったと同時に、鼻のてっぺんに副総長の人差し指の先がかすかに触れた。
え……?
恐る恐る、閉ざしていた瞼を開けていく。
「ついてた」
副総長はそれだけ言って、人差し指についているチョコレートクリームをペロリと舐めた。
え。……あ。そ、そう、そっか。
私の鼻に、チョコレートクリームがついてたわけね。
食べ方が豪快すぎたかな。
あははは。
……なんて、普通にしていられるかボケぇぇ!!
何!?今の何!!
カップルの真似事みたいだった。
副総長、無自覚ですか!?
無自覚で、あんなことしたんですか!?
これは、真修以上の無自覚ジェントルマンの誕生だ。
いや、ジェントルマンというより、モテ男だ!
イケメン設定の私相手に、あんなことを平然とするんだもん。あいつはモテるぞ。モテすぎて困るくらいモテてるぞ。弘也の比じゃないぞ。