BAD & BAD【Ⅰ】
不覚にも、心臓がバックバクだよ。全身が爆発しちゃいそうだよ。
どうしてくれるんだ!
「新入りだけずりぃ!お、俺のも、取ってください凛さん!」
「……めんどい」
「えぇ!?」
さっきの胸キュン必至のシーンテイク2をしようと、桃太郎が自分で鼻のてっぺんにチョコレートクリームを大量につけて頼んだ。
だが、副総長はあくびをひとつこぼしただけで、私にした胸キュン技を再び披露しようとはしなかった。
はあ!?
めんどい?めんどいだと!?
だったら、なんで私の時はめんどくなかったんだ!!
桃太郎にもやってあげなよ!
桃太郎に嫉妬心を纏った敵意を向けられてる私の身にもなって!
「あの凛に気に入られてるなんて、お前何したんだよ」
「な、何もしてないよ!」
たかやんが自慢げにチョコレートケーキを食べながら尋ねてきて、私はたかやんのチョコレートケーキを欲しそうにしながら答えた。
副総長が、私を気に入ってる?
そうなの?
それが本当なら、理由を聞きたいのはこっちの方だ。
私、副総長に気に入られるようなことしたっけ?