BAD & BAD【Ⅰ】
「アイスでもやって、餌付けしたのか?」
「してない」
ちょっと、たかやん。誤解を生む言い方はやめてくれる?
そもそも餌付けしてないし。
餌付けするメリットがないし。
チラリと、広間の脇にあるソファーに座って怠けている副総長を一瞥した。
神雷に入って結構経つけど、未だに副総長のことがよくわからない。
なのに、なんで。
こんなにも、副総長に私の心を揺さぶられているんだろう。
“わからない”という存在が、怖くてもどかしくて。
少し、興味が湧く。
パーティーの賑やかさに埋もれても、ぶっ倒れるまではしゃいでも、夜中までバカ共が喚いても。
鼻のてっぺんの、副総長の指が触れた部分は、ずっとじんわりと熱を帯びたままだった。