BAD & BAD【Ⅰ】
「それじゃあ、掃除開始!!」
たかやんがそう声を上げ、大掃除がついに始まった。
各自、担当場所に移動しててきぱきと動き出す。
私とたかやんも、階段を上って幹部室へ向かった。
不良が清掃するって、なんか変なの。
これのどこが不良なんだろう。
初めて入った幹部室は、予想していたよりもずっと豪華だった。
遊戯室や広間とはどこか雰囲気の違う、いわば王室。
改めて、神雷のたまり場は立派な洋館なのだと、知らしめているようだった。
広さは、遊戯室よりやや広いくらいなのに、どうしてそう思うんだろう。
幹部室という名前が、そう錯覚させているの?
「どうした?」
入口で立ち止まっていた私に、たかやんが不思議そうに声をかけてきた。
私は「なんでもない」とはぐらかして、早速濡れた雑巾で窓を拭き始めた。