BAD & BAD【Ⅰ】
そりゃあもう、11代目総長と12代目総長が初めて顔を合わせた瞬間に始まった因縁の対決……火花を散らす熱き戦い……戦い後は互いに認め合う仲間に……みたいな青春っぽいやつを期待してたよ。
そんな変哲のないありきたりな“初めまして”なんて、所望してない!
つまんないよ!!
「もっと激しい感じがよかった」
「そんなの求めんじゃねぇよ。……あのな、言っとくが、俺は罰ゲームでの格下げに何の異論もねぇんだよ。だから、京に八つ当たりする気はねぇわけ。わかったか?」
「八つ当たりする気がなくてもするのが不良でしょうが!」
「それじゃあただの反抗期のガキと一緒じゃねぇか」
たかやん、今日のツッコミはキレがいいね。
思わず、「確かに」と頷きそうになったよ。
たかやんの有無を言わせない迫力は、いつも感心するよ。
「それに……」
たかやんはそれだけ呟くと、続けようとした言葉を息と共に飲み込んだ。
それに?
何を言おうとしたんだろう。