BAD & BAD【Ⅰ】
「よっしゃ、一抜け~」
「弘也、早っ」
「お前らが弱いんだよ」
「うぅ、またババだ……」
ババ抜きの現状は弘也が1番に上がったことにより、残りは桃太郎と真修の一騎打ちとなった。
断然、ババを持っている真修よりも、桃太郎の方が有利だ。
この3人のババ抜きをよそに、たかやんは清掃時間終了を全員に伝えた。
下っ端達は疲れを取りたいと言わんばかりに、遊戯室へ向かった。
副総長は、幸せそうに2個目のアイスを食べている。
私はというと、ゲームをやめた師匠とたかやんと同様に、ババ抜きの最後を見届けていた。
「……決めた」
「桃太郎さん、本当にそっちでいいんですね?」
「あぁ。真修、これで終わりだ」
桃太郎が真修のカードを取ろうとした瞬間。
バンッ!、と大きな音を立てながら、勢いよく扉が開いた。