BAD & BAD【Ⅰ】
「はあ!?な、な、なんでお前がここに!?つか、今『僕』っつったか!?」
「僕だけ仲間はずれにするとか、まじふざけんな」
「おい!てめぇ、汚ぇ手で総長に触んじゃねぇ!泣かすぞこら」
笑顔を顔に貼り付けたまま知り合いの胸ぐらを掴んだ私を、知り合いの隣にずっといた知り合いの下僕みたいな奴が睨んだ。
ハッと我に返る。
やばっ。あのまま知り合いを殴ってたら、周りの私に対する印象が悪くなってた。
下僕くん、止めてくれてサンキュー!
助かったよ。
でも、下僕くん、ひとついい?
私の手はうるつやでとてもとても綺麗なの。汚くないの。もう1回『汚ぇ手』とか抜かしやがったら、ガチでぶちきれんぞ。
私は知り合いから一旦手を放し、小さく咳払いをした。
「まさか、あんたまで不良になってたとはねぇ」
「それは俺のセリフだ!なんでお前がこんなところにいんだよ!?」
「察して」
「無茶言うな!」
無茶じゃないよ。
真修には無理だろうけど、あんたにはできるでしょ?