BAD & BAD【Ⅰ】
「かっこいい人だったなあ」
「京、ずっと沈黙してたけど、朔に見とれてたのか」
「うん。パーカーマンに似てすっごくかっこよくて、つい言葉を失っちゃって」
桃太郎にそう返事をした師匠は、輝きに満ちた眼差しで扉の方を眺めながら、ヒーローのような不良への憧れ意識を強めていた。
朔が、パーカーマンの正体である私に似てる?
そう?私の方がかっこよくない?
朔のかっこよさは、見た目の華やかさだけでしょ?
私は外見からも内面からもカリスマ性ってやつが滲み出てるから、どう考えても私の方がかっこいい!
私がそんなしょうもないことを考えているとは知る由もなく、
神雷のたまり場を出た朔と銀は、黒龍のたまり場へ戻ろうと、オレンジ色に染まる帰り道をたどっていた。
「あの、総長」
「んー?」
「幼なじみの弱そうなあいつに、随分とこけにされてましたけど……」
「あいつって、どっち?真修?」
朔が、わざと銀の声を遮って尋ねた。