BAD & BAD【Ⅰ】
ちぐはぐリアリティー
『ヒーローか悪役になればいいんじゃねぇの?』
“あの人”の手のひらが、小学生の姿をした私に、ふわりと触れる。
これは、夢だ。
すぐに気づいた。
だって、頭を撫でるその手に、温もりはない。
それでも、ホッとした。
“あの人”の手は、とても優しかった。
――副総長の手も。
安らぎの空間は消えて、“あの人”も消えて。
場面が切り替わったように、周りに小学校の頃のクラスメイトと担任の先生が立っていた。
その奥には、違う学年やクラスの生徒……いわゆる野次馬もいる。
生徒も先生も、皆、私を怖がっていた。
凶暴な、私を。