BAD & BAD【Ⅰ】
目覚まし時計から、なんとなく自分の部屋にあるベランダの方に眼を向けた。
「窓が、開いてる……」
おかしいな。
昨日テレビゲームをした後に、ちゃんと閉めたつもりだったのに。
私はベッドから下りて、ほんの少し開いたベランダの窓の鍵を閉めた。
ベッドに戻る途中、勉強机に違和感を抱き、足を止める。
勉強机を普段あまり活用しておらず、机の上は無駄に綺麗だ。
殺風景な机の上の真ん中に、ぽつん、と見覚えのない1通の手紙が置かれてあった。
「何、これ」
こんなのあったっけ?
白い無地の手紙を恐る恐る手にして、何も綴られていない表面から裏面にひっくり返す。
「え?」
……なん、で。
裏面の隅っこに、一言。
『善より』
世界で一番憎い名前が、書かれていた。