BAD & BAD【Ⅰ】
心臓がドクンと軋んで、喉がヒュッと締め付けられる。
なんで、ここにあいつからの手紙が?
まさか夜中にベランダから侵入したの?
前髪を撫でたあの手は、もしかしてあいつの手?
きっと、そう。
最悪な答えだ。
眩暈がする。
私は衝動的に手紙を見ることなく、封筒ごと破いた。
跡形もなく、ビリビリに。
「……もう1回、寝よう」
手紙だった白い紙を捨てて、あくびをしながらベッドに入る。
いい夢が見れますように。
あいつのことなんか、忘れられますように。