BAD & BAD【Ⅰ】
「それでね、内容はもう覚えてないんだけど悪夢見ちゃって、しかも起きたら嫌なことがあってさ。そんでもちろん2度寝するじゃん?そしたら、お母さんに叩き起こされて、遅刻決定の時間なのに問答無用で急かされて大変だったよ。準備ができ次第、家を追い出されちゃうしさー。
ねぇ、たかやん、どう思う?」
太陽が「今日は快晴だ」と豪語しているかのような、晴れ晴れとしすぎている天気の、7月最初の月曜日。
昼休みに登校してきた私は、どこも省略することなく、たかやんに愚痴った。
「お前が寝坊したのがいけねぇんだろうが」
「たかやん冷たい」
「常識的に考えろ」
今日もたかやんは、相も変わらず真面目で毒舌だ。
教室の隅っこ、窓際の一番うしろ。
天気がいいのにこんなところで昼食を食べてるのも、いつも通り。
私はお母さん特製のお弁当、たかやんは購買で買ってきたパン5つ食べている。
育ち盛りな男子高校生の胃袋は無限なのだ。
サイズのでかいパンを5つもぺろっと食べてしまう男子の生態は、可憐な少女の私には到底計り知れない。