BAD & BAD【Ⅰ】
「たかやーん、私もコーヒーでいいよー」
「奢んねぇよ、ボケ」
「ケチ」
「飲みたきゃ自分で買え」
聴こえてくるのは、「まーだだよー」。
境界線は、まだ超えない。
待つのが嫌いな私は、ずっと、私らしくはしゃいでる。
コーヒーの匂いが、香る。
肩からさらり、と髪が落ちる。
校内中に鳴り渡るチャイムが、耳に届いた。
放課後。
一度帰宅した私は学ランを羽織り、今日もモデル顔負けのイケメンに変身して、神雷のたまり場へ行った。
洋館の遊戯室に入ると、甘い香りが漂っていた。
テーブルの上に並べられた、遊戯室にいる人数分のティーカップを鑑みるに、おそらくいい匂いのするお茶でも飲んでいたのだろう。
遊戯室の隅に設置されてある簡易な畳の上で、副総長がぐっすり眠っていた。
師匠とたかやんは、スマホのとあるアプリゲームで対戦している。
桃太郎と弘也と真修と、他の下っ端達は、皆で百人一首をしている。
なぜに百人一首?