BAD & BAD【Ⅰ】
……今、副総長、微笑んだ?
目ぇ全開の口角グイーッ!!、っていう異常な表情筋のやつじゃなくて。
柔らかな笑み、だった気がする。
見間違い?
ううん、確かに、笑った。
「どうした?」
「へ?」
「真っ赤」
「へ!?」
「熱か?」
副総長はただ起き上がっただけで疲れきった顔をしながら、ゴツンと私の額に自分の額を当てた。
コツン、ではなく、ゴツン。
力加減しろや!痛いわクソ!!
……って、近い近い近い!
「うわああああ!!」
「いっ」
恥ずかしさのあまり、無意識に副総長に頭突きをかましてしまった。
お互いに、おでこを抑えてうずくまる。
「ご、ごめんでござる!」
「ござる?……てか、なんで臨戦態勢?」
副総長と一定の距離を取り、身構える。