BAD & BAD【Ⅰ】
なんだこいつ、なんだこいつ、なんだこいつー!!
イケメンな私を、妖艶に弄びやがって……!
なに?私(男設定)のことが好きなの?
禁断の恋なの!?
心臓が、ばっくんばっくん、飛び跳ねている。
うるさいよ、心臓さん。
これじゃあ、まるで、恋してるのは私の方みたいじゃないか。
そんなわけ、ないけど。
私が好きになったのは人生で一度だけ。
“あの人”だけだ。
ダメだ。このままじゃ、ダメだ。
副総長のペースに流されてしまう。
そうだ、話題を変えよう!
「そ、そ、そういえばさ、副総長ってどうしていつも全力を出さないの?」
私の隣に座った副総長に、何気ない質問をする。
あくまで私の直感だけど、多分、凛は強い。
普段は無気力にダラダラしてて気づきにくいけど、本来なら総長になれるレベルだろう。
副総長を総長にしたいかどうかは別として。