BAD & BAD【Ⅰ】
「……」
数秒間、副総長は黙ったまま、私をじっと見つめていた。
時間が止まったように錯覚してしまうくらい、静かな沈黙だった。
「……ふ、副総長?」
「全力を出さなくても、なんでもできちまうからだ」
逸らされた眼が、ぶっきらぼうに紡がれた声が、ひどく切なかった。
副総長は苦しさに耐えるように、奥歯を噛み締めた。
何その、俺は天才なんだ発言。
平凡な私からしたら、嫌味以外の何ものでもないよ。
「やっぱ無理だ」
「え?」
「もうひと眠りする」
「さっき起きたばっかじゃん!」
副総長は大きなあくびをして、ゴロンとまた横になり眠ってしまった。
寝落ちすんの早っ!
今の流れ技だったよ!?
なんだか、私も眠くなってきちゃった。
寝ちゃおうかな。
「俺・弥生京が、午後7時をお知らせします」
「……?」
師匠、何やってるの?