BAD & BAD【Ⅰ】
沸騰センチメンタル
パトロールを終えた、午後9時。
疲れきった状態で、洋館に戻ってきた。
予想外だった。
2時間も巡回するなんて、聞いてないぞ!
さらに、予想外だった。
師匠と真修のお守りは。
……詳しくは聞かないでくれ。思い出したくもない。
ホールで鬼ごっこ(かどうかはわからないがそのような遊び)をしていた弘也と桃太郎が、私達を出迎えてくれた。
「おっかえり~」
「遅かったな。……つーか、弘也!頭に顎をのせんじゃねぇ!重てぇんだよ!!」
「わあ、気づかなかったー」
「棒読みじゃねぇか!」
うわ、弘也、白々しい。
絶対わざとでしょ。
ぎゃーぎゃー騒ぐうるささにまじって、階段の1段目の端に置かれたスクールバックから、
ピコン、ピコン、ピコピコピコピコピコン……!
と、メールを受信した音が猛烈な勢いで畳みかけられた。
うげ、音からして、すごい通知来てる。
「あのカバン、誰の?」
「鳴ってますよ?」
私と真修が指を差せば、弘也が「あ、僕のだ~」とゆるく挙手した。