BAD & BAD【Ⅰ】
スマホがもったいない……じゃなくって!
壊した!?スマホを!?あの弘也が!?
そういえば、今日の昼休みに、たかやんも届いたメールを速攻で消去してたっけ。
なんでそんなところだけ似てるの、この双子は。
狼狽を隠せないのは、私のみならず、ホールにいる弘也以外の全員。
弘也は殺気を消して、くるっと私たちの方に振り返った。
「迷惑メールだった~」
迷惑メール、大量に受信しすぎでしょ。
普通に怖いわ。
「だ、大丈夫なのかよ。スマホ壊して……」
「あー、全っ然ダイジョーブ☆僕、スマホ2台持ちだから!」
桃太郎の気遣いに、弘也はズボンのポケットから出したもう1台のスマホを見せびらかしながら、軽やかに返す。
私達の目の前にいるのは、いつも通りの弘也だった。
さっきのあの冷たいオーラは何だったんだろう。
「あ、ねぇ、弘也。たかやんどこにいる?」
「遊戯室で凛をたたき起こしてるよーん」
「まじか」
副総長、まだ寝てたのか。
寝すぎだよ。