BAD & BAD【Ⅰ】
再びどうにかして凛を起こそうとしたたかやんの動きが、ピタリと止まる。
お、食いついた。
「相談したいことがあって」
「お前が、俺に?」
「なんで疑わしそうにするの。本当に相談だよ。罠とかないから安心して」
「逆にあったらぶち切れるわ」
私は真剣なんだからね。
私の本気が、こう、ブワーッと滲み出てるでしょ?
罠とか張ってみたいけど、グッと欲を抑えてあげるよ。
「差し入れもあるよ」
「コーヒーじゃん」
「ちなみにホット」
「なぜ夏にホット!?」
「気分で選びました」
「ふざけんな」
夏でも夜は冷えるからね。
気が利くでしょ?
「こんな蒸し暑いのにホットとか、ありえねぇ」
「これから寒くなるかもしれないでしょ?」
「憶測でホット買うな!!」