BAD & BAD【Ⅰ】
仲間に裏切られた。その辛い感覚に囚われて、何も見ようとしなくなってる。
裏切り行為は確かに残酷だけれど、裏切った意味もわからないまま嘆いていても、停滞してる現状は変わらない。
「結局、たかやんは何がしたいの?」
「俺は、」
短い沈黙のあと、たかやんが凛とした目つきで私を見据えた。
「剛を、信じたい」
「僕達も同じ気持ちだー!」
「……ん?今の、弘也の声?」
ドンッ、と開いた扉から現れたのは、弘也だった。
いや、弘也だけじゃない。
神雷メンバー全員だ。
「てめぇら、盗み聞きしてたのかよ。趣味悪ぃな」
「鷹也が意味深な言い方するから、気になっちゃったんだよ~」
「どこから聞いてたの?」
「最初から!」
弘也がなぜかドヤ顔で答えると、他の皆もこくこくと頷いた。
えらそうにしないでくれる?