BAD & BAD【Ⅰ】
全然気づかなかった。
皆、気配消すのうまいな。
「僕達全員、剛を信じたいと思ってる!」
「あんなに元幹部の話題が出たらピリピリして、さっきまで裏切られたーってたかやんと同様に怒ってたのに?随分と、揺らぎやすくて薄っぺらい信頼なんだね」
「そっ、それは、そうだけど……!」
あえて、責めるような口調を選んだ。
神雷の真意を、探るために。
弘也の次に口を開いたのは、師匠だった。
「それくらい、大切な仲間ってことなんじゃないのかな」
「それでも、皆が一度信じるのをやめようとしてたのは事実ですよね?」
「……けど、やめられなかった」
ボソッ、とたかやんが言い返す。
私はこっそり、ニヤリと笑った。
「無理やり過去のことにしようとしても、消せなかったんだ」