BAD & BAD【Ⅰ】
そして、私達はざわざわ騒ぎながら、
たかやんが洋館内に完備されたある、シャワー室でシャワーを浴びている間に、遊戯室へ移動した。
そこで、遊び道具の置き場所である棚の奥に保管されていた、十蔵寺剛の手紙を見た。
その手紙は、封筒にも入ってなければ、便箋ではなくチラシの裏を利用した、手紙とは名ばかりのものだった。
何この手抜きさ。
バカにされてるみたいで、イラッとくるな。
「この手紙、いつもらったの?」
「剛さんが神雷をやめる前に、幹部室に置いていったものらしいよ」
「置き手紙ってやつか」
「ちょっと違う、かな」
「えっ、違うの?」
真修の説明に真剣に補足したつもりなのに、まさかの不正解。
恥ずかしい間違いをしてしまったから、今のはなかったことにしよう。
記憶消去。よし、これでオールオッケー。テイク2だ。
「やめる前にわざわざ残した手紙、か……」
「それがどうかしたのー?」
弘也が手紙を手にしながら、興味津々に聞いてきた。