BAD & BAD【Ⅰ】
おそらく、十蔵寺剛が神雷を抜けるほんの少し前に、神雷ゲームをしたんだろう。
「その時、十蔵寺剛はどんな罰ゲームを課せられたの?」
桃太郎は運良く罰ゲーム無し、たかやんは格下げと1か月の出禁、弘也は1か月好きなことするの禁止だった。
じゃあ、裏切り者は?
いつの間にか、弘也が神雷ゲームの基盤となる黄ばんだボードを、床に広げていた。
珍しく仕事が早いのね。
「えっとー、多分、このマスだった気がするんだよねぇ」
脳をフル回転させて当時の記憶を引っ張り出した弘也が、うろ覚えに指差したのは、ゴール地点のすぐ近くにあるマスだった。
そのマスに、全員の視線が集結する。
ただし、畳の上でゴロゴロしている副総長を除いて。
あいつは一体何をやってるんだ。ダラけてる場合じゃないでしょ。
副総長も一緒に、探偵ごっこしようよ!
「罰ゲームの内容は……『仲間に嘘をつくこと』?」
たかやんが代表して読み上げてくれた。
十蔵寺剛が神雷に伝えたかったのは、このことだったんだ。