BAD & BAD【Ⅰ】
善は急げだ。
私は覚悟を決めて、急いで自宅へ帰った。
家に着いて、「ただいま」も無しに自分の部屋に入る。
師匠に見つかってもごまかせるように、変装していかなくちゃ。
クローゼットを開けて、中学での文化祭で使った学ランを引っ張り出した。
まだ持っててよかった。
すぐに着替えて、鏡の前に立つ。
「なかなかのイケメンじゃない?」
どこをどう見ても、ちょっと小さめの男子高校生だ。
胸元まである黒髪はひとつに結ったし、さりげない着崩しも完璧。
鏡の前で、数回決めポーズを決めてみる。
ふふふ、自分の中にこんな魅力があったなんて。
そこらへんの男子より、モテちゃうかも。
……って、私がイケメンになってどうする!
私はイケメンな彼氏が欲しいんだよ!!