BAD & BAD【Ⅰ】
私が唯一怖がるのは――あいつだけ。
「そういえば」
「ん?」
「昨日、あいつから手紙が届いてた」
わざと名前を伏せて、一応教えておく。
私と朔は、あいつが嫌い同盟を結んでる仲だから。
「あいつって?」
「名前も言いたくない、大嫌いなあいつ」
憎々しげに答えたら、首をひねっていた朔のオレンジっぽい金色の瞳が丸くなる。
その反応じゃあ……朔の方には届いてなかったみたいだね。
「な、なんて書いてあったんだ!?」
「わかんない」
「は?」
「あいつの手紙を読むわけないじゃん。読む前にビリビリに破いて捨ててやったわ!」
朔が同じ立場でも、そうしたでしょ?