BAD & BAD【Ⅰ】
うぅ、自分のかっこよさが憎い……っ。
もっと女子力があればよかったのに。
また絶叫しかけた私の視界の隅に、時計が映りこんだ。
ハッ!こんなことをしている場合じゃない!
責任もって、神雷にいる師匠が大丈夫かどうか確認するんだった。
私は勢いよく部屋を飛び出し、玄関でスニーカーを履いていると。
「幸珀、あんたさっき『ただいま』って言わなかったでしょ」
「痛っ!」
ダイニングキッチンから出てきたお母さんが、私の頭を叩いた。
お母さん!叩く時は手加減してっていつも言ってるじゃん!
「ご、ごめんなさい……」
「わかればよろしい」
私の両親は、すごく強い。
私なんか比べ物にならないくらい、強い。
ついでに、そんな両親の遺伝で私も強い。