BAD & BAD【Ⅰ】
意図的ハプニング
放課後になった。
私は家には帰らずに、ブレザーの制服のまま、とある場所へ来ていた。
ピンポーン、と軽快にインターホンを鳴らす。
インターホンに内蔵されたカメラで訪問者が私だと認識し、慌てて扉を開けた人物に、極上の笑顔を作った。
「ごーうくーん!あっそびっましょー!」
「な、なんで……!?」
非常に困惑している十蔵寺剛は、相変わらずこの家には不釣合いな洋服を着ている。
和服の方がかっこよさ倍増するのに、もったいないなぁ。
「あんたが言ったんだよ?」
「え?」
「『たまり場には近づくんじゃねぇ』って。だから、こっちに遊びに来たの」
ちょうど証拠を手に入れたかったし、ナイスなアイデアでしょ?
「こっちに来たって、中に入れるわけねぇだろうが」
「いいの?」
何が、と言いたげな様子で、眉間にしわが寄っていっていた。