BAD & BAD【Ⅰ】
「入れてくれなきゃ、バラしちゃうよ」
「バラすって何を……」
「あんたが、本物のNINAじゃないことを」
脅されたのにいけしゃあしゃあと自信たっぷりにやり返す私に、十蔵寺剛の温度のない表情が崩れ始めた。
バラされたら困るんじゃない?
「お、俺がNINAだって知って……?いや、神雷の奴らから聞いたのか。けど、俺が本物じゃねぇって、なんで……」
あのー、モノローグだだ漏れしてるよ?大丈夫?
ていうか、こいつ、気づいてなかったのか。
不良撲滅隊らしい十蔵寺剛が、不良をぶん殴っていたところを、チラ見してたのが私だって。
「『念のため注意しておくけどな、しらばっくれたって無駄だぞ。こっちは確信を持って言ってんだ』」
面倒だから、屋上で言われたセリフをそのまんまパクって脅し返してやったら、わかりやすく苛立った。
私をなめんなよ、半分坊主野郎が。
「NINAって、都市伝説みてぇなもんだったんじゃ……」
アホだなあ。
自分がNINAじゃないって、言ってるようなもんじゃん。
「私、NINAを知ってるの」