BAD & BAD【Ⅰ】
「嘘つけ」
私の返答を一刀両断した剛は、どうやら勘がいいらしい。
アルバムにあった写真や過去のこいつの行動からは、「類は友を呼ぶ」にふさわしく、弘也とどことなく似ている節があった。
でも、今はそれなりに頭の切れる奴に窺える。
なかなか面白いじゃん、こいつ。
すると、遠くから響いていた誰かの足音が、この部屋の前で止まった。
「剛、いるか?」
「はい。何か用ですか?」
剛がスライドさせた扉の先には、剛の祖父である、この町の首長がいた。
この人が、首長……。
ニュースで見たことあるけど、実際に見たらさらに若く感じる。
外見だけで判断すれば、剛のお父さんと言われても納得してしまいそうなほどだ。
どうやって若作りしてるんだろう。
若さの秘訣が知りたい。聞けば教えてくれるかな。
「ん?そちらのお嬢さんは?」
「おじゃましています。円堂と申します。剛くんとは同じ学校で、仲良くさせてもらってます」
「ほう、そうだったのか。剛は迷惑かけてないかね?」
「迷惑なんて全然。自慢の後輩です」
「それはよかった。これからも剛をよろしく頼むよ」
「はい、もちろんです」
ちょろいぜ。