BAD & BAD【Ⅰ】
誰もが羨む、素敵で優しい憧れの先輩像で、首長も瞬殺さ!キラーン!
剛くんよ、そんなに威嚇しないでおくれ。私はただ猫かぶって、演技をしただけなのだよ。
「すまんが、少し剛を借りてもいいかな?話したいことがあってね」
「はい、どうぞお構いなく」
「じゃあ行こうか、剛」
「はい」
今、剛が何かをポケットに入れたのを、確かに見た。
あれって、もしかして――。
「失礼したね、お嬢さん。ゆっくりしていってくれたまえ」
首長は笑顔でそう言って扉を閉め、剛と共にどこかへ行ってしまった。
首長が、不良撲滅計画を実行しているとわかっているから、なおさら胡散臭い。
完璧に繕われたあの笑顔が、癇に障る。
私は、部屋にあるソファーに座って、この家に仕える召使いさんが運んできてくれたほうじ茶を飲みながら、剛の部屋を興味深く見渡していた。
それから、10分も経たないうちに、剛は戻ってきた。
私が遊びに来てたから、早目に話を終わらせたのかな。
「おかえり、剛くん」
「先輩づらやめろ」
「お気に召さない?」
「鳥肌立つ」
そんなに嫌?
このキャラ、結構気に入ってるんだけどな。